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松田のホタル。ゲンジボタルが約5,000匹!(足利市松田町松山地区)
旧暦では夏の風物詩として、数々の俳句にも詠まれてきた「蛍」。闇夜にぽっと浮かぶその光は幻想的で観る人の心を和ませますが、環境破壊が進む中蛍を観られる場所は限られ、蛍は「わざわざ観に行くもの」となってしまいました。
今回は、この蛍を楽しめる「松田のホタル」イベントを主催する中山雅嘉さんにお話を伺いました。
今年で10回目を迎える「松田のホタル」。
幻想的な蛍の風景が楽しめるこのイベントに、近年は期間中に延べ1万人近い人が来場し、福島や東京からわざわざ訪れる人もいるのだそう。
「期間中に、ゲンジボタルが5,000匹くらい飛びますよ」
そう話すのは、松田のホタル実行委員会の会長を務める中山雅嘉さん。
このイベントのために、もとは田んぼとして使っていた自分の土地を貸し出し、蛍が住める環境を作ってきた、まさに「松田のホタル」の生みの親の一人だ。
蛍が飛ぶまで
蛍は、放っておけば自然に成長するわけではない。
5,000匹という蛍を期間中この場所に飛ばすには、一年を通した地道な下準備が必要だ。
ホタル祭りの最中から、仕事は始まる。
まず、蛍が飛んでいる時期にオスとメスをつかまえて、卵を産ませる。
蛍はオスに比べてメスの数が圧倒的に少ないため、メスをきちんと確保することが非常に重要だ。
ひとつの水槽にメス数匹、オス数十匹を入れておけば、合計で1,500くらいの卵を産むという。
この卵は数週間後には孵化し、幼虫となる。
蛍は「カワニナ」という小さな巻貝を餌として食べるため幼虫蛍にもカワニナを与えるが、幼虫が小さいうちはカワニナを砕いて与えるという。そうしなければ、カワニナが背負っている巻貝の中に小さな幼虫は連れ込まれて窒息死してしまうからだ。
会場となる敷地に幼虫を放すのは3月頃なので、それまでは水槽による飼育が毎日続く。
飼育は中山さんではなく別の担当者がおり、坂西北小学校の5年生も一部を担当している。
蛍の幼虫はキレイな水の中でしか生きられないので、水槽の水替えと餌やりという仕事を日々繰り返していかなければならない。
ここで多くの幼虫が死んでしまえば、6月に飛んでくれる蛍ももちろん少なくなる。ゆえに単調ではあっても、非常に重要で繊細な仕事だ。
3月に敷地内に放された蛍の幼虫は、草むらの中に巣をつくる。
同じく敷地内に放されたカワニナを自力でとって食べ、サナギとなり、成虫へと成長していくのだ。
こうなると、あとはもう自然任せ。
取材に行った日も「この(草むらの)中にホタルがいるんですよね?」と聞くと、「いるね~。でも今はどこにいるかわからないし、そもそも今は小さくて見えないね~。」と笑いながら言われた。
蛍はトランペットが好き
今年の「松田のホタル」は6月15日から29日までの開催とのことだが、桜と同じで、いつどのくらい飛ぶかは当日になってみなければわからないそう。
それでも長年の経験と勘から、「たぶん15日には、たくさん飛んでると思うよ」という中山さんの声には迷いがない。
「開催期間中の土日はね、近くに住んでいる子がトランペットを吹いてくれるの。前はオカリナだったんだけど、蛍はオカリナが嫌いみたいで、吹きはじめたら飛ばなくなっちゃった。でもトランペットだとよく飛ぶの。あの勢いのある感じがいいのかね。」
そんなおもしろい話も聞かせてくれたが、ここまでの下準備の話を聞くと、このイベントを開催するまでの苦労は容易に想像できる。
「でもね、遠くから来てくれた人が『感動しました』なんて言ってくれると、やっぱり嬉しくなっちゃうよね。」
そう言って笑う中山さんは、今年の10月で70歳。でもその顔も話しぶりもとても70歳とは思えないほど若々しいのは、「松田のホタル」への使命感もひとつの大きな理由なのだろう。
(聞き手:「あしかがのこと。」編集長:茂木)
松田のホタル 情報
日時 | 日時:2013年6月15日(土)~6月29日(土) 19:00~21:00 ※時間外の入場はできません ※雨天の場合中止させていただくことがあります |
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場所 | 足利市松田町松山地区 |
料金 | 入場料:小学生以上100円(施設整備協力金として) |
備考 | カーナビ検索:0284-61-1111 約140台の駐車スペースあり 開催時間が夜になります。蛍の特性を考慮して照明は多くありませんので、 足元に十分お気をつけて観賞してください。歩行には楽な履物でご来場ください。 |
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2013/06/06)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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satoko motegi
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