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早池峰神楽を終えて(樺崎八幡宮で開催)
2014年5月17日・18日の両日、足利市樺崎(かばさき)町の樺崎八幡宮で「早池峰神楽(はやちねかぐら)」が開催されました。今回は「早池峰神楽足利実行委員」の一人として活動された矢口裕さんにお話を伺いました。
17日の夕方から夜にかけて、18日は昼間開催された「早池峰神楽」。当日はどのくらいの人出があったのですか?
矢口さん(以下敬称略):チケットを集計していた方に聞いたところ、両日とも300人くらいの方が見に来てくれたようです。市内の方だけでなく、市外の方も多くいました。「早池峰神楽」には「追っかけ」のようなファンの方もいるそうで、その方たちの中には遠方から来てくださった人もいたようでした。来場いただいた方の中には、足利に宿泊された方も多かったのではと思います。
今回「早池峰神楽」の会場となった樺崎八幡宮とは?
矢口:樺崎八幡宮は、源頼朝と縁の深かった足利義兼が生入定(※)したと言われる地に建立されています。義兼の子である足利義氏が、父の霊を慰めるために社殿を建てたことが由来となっています。鑁阿寺が国宝になり注目を集めていますが、実はこの樺崎八幡宮がある場所も非常に歴史的価値があるところです。ここには樺崎寺(法界寺)というお寺と浄土庭園があったといわれ、国の史跡にもなっています。
※僧や行者が断食の修行ののちに魂が永久に生き続ける状態に入ること。「入定」による死は、信仰的には「死」とみなされない。
「早池峰神楽」とは、どんな神楽ですか?
矢口:早池峰神楽は岩手県遠野の北、早池峰山にある「早池峰神社」の奉納神楽である「岳(たけ)神楽」と、岩手県花巻市大迫町にある「大償神社」の奉納神楽「大償(おおつぐない)神楽」の、二つの神楽の総称です。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている伝統芸能です。
「岳神楽」と「大償神楽」は表裏一体をなしていると言われ、それぞれの演目はほぼ一致しています。約四十番ずつある演目のうち、今回の足利公演では「鶏舞(とりまい)」、「三番叟(さんばそう)」「天女」「天孫降臨(てんそんこうりん)」、「八幡」「鞍馬」「天照五穀(あまてらすごこく)」「権現舞(ごんげんまい)」を演じていただきました。
踊り手の皆さんの年齢層は様々で、自分と同じ30代前後の方もいましたが、締めの舞である「権現舞」はやはりキャリアを積んだ方でないと踊れないと伺いました。今回来ていただいた踊り手の中には、75年のキャリアを持つ方もいらっしゃいます。
スタッフをされた中で、印象に残っていることはありますか?
矢口:スタッフ目線でいくつか挙げますね。まず、舞台が組み上がっていく過程が見事でした。この舞台は組み立て式の舞台で、全国の方々の募金で作られたそうです。材料に檜が使われていることもすごいのですが、これを作った宮大工の方の仕事ぶりにも心打たれるものがありました。
当日の天気も印象が強いです。公演が近づいたときには雨の心配はなくなったのですが、開催前夜から当日のお昼頃まで本当に風が強く、準備が思うように進まず苦労しました。しかしながら、いざ公演が始まると風は止み、それどころか太陽の光で山が眩しく光りました。私は近くの小学校に通っていたため、樺崎には子どもの頃に何度も来たことがあるのですが、このような景色を見るのは初めてでそれまでの疲れが和らいだ瞬間でした。
さらに印象に残っているのは、スタッフの皆さんそれぞれの働きぶりですね。有志で構成される実行委員ですが、みなさんがそれぞれの役割をしっかりと果たしてくれました。地元の方々の協力も大きいです。実行委員のがんばりと地元の人たちのサポートが揃ったおかげで、滞りなく公演を終えることができました。私は実行委員と地元の方々との間の調整役だったので、特にそう感じました。当日のスタッフは高校生から80歳を過ぎる高齢の方までいましたが、これだけ広い年齢層の方々が一丸となる機会はなかなかないのではないかと思います。
今回の公演ではアフリカから足工大に来ている留学生も見に来てくれていました。スタッフとして会場の見回りをしていると、彼らが「うのすみ神輿をつくろう会」の人達と楽しそうにお酒を飲んでいるのが見えました。鵜住居の方とアフリカの方の間に言葉にしなくても通じる部分があったのかなと、国境を感じさせない平和な瞬間が印象に残っています。
当日お越しいただけなかった方は、YouTubeに17日、18日の公演の様子を写した動画がアップされていますので、ぜひご覧ください。
ありがとうございました!
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2014/06/05)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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satoko motegi
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