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『ディアーディアー』菊地健雄監督インタビュー
足利出身の映画監督、菊地健雄さんの初監督作品『ディアーディアー』の撮影が、去る9月上旬に足利市内で行われました。今回は撮影現場にお邪魔して、菊地監督にインタビューを行いました。
監督になろうと思ったきっかけを教えてください。
(菊地監督 以下敬称略):父親の影響はあったと思います。父が映画好きで、当時はまだ足利市内にいくつかあった映画館に、よく映画を観に連れて行ってもらいました。でも、子どもの頃は自分が監督になるとは全く思っていませんでしたが…。その後大学時代に映画サークルに入って、その頃から「自分でも作れるかもしれない」と考え始めたように思います。
僕の頃は就職氷河期で、就職先がなかなか決まらない。それもあって映画美学校という教育機関に行き始めたのですが、幸運なことにおもしろい監督の方々が講師を務めておられて。その中のお一人である瀬々敬久(ぜぜたかひさ)監督に感銘をうけて、助監督などをやっているうちに、今回初監督作品を撮ることになりました。
映画を観ると、世界がちょっと変わる…という体験ができますよね。映画館に入る前と、観終わって出てきた時とでは、世界がちょっと変わった気がする。そこに映画の魅力があると思っていますし、そんな作品を作りたいと思っています。
子どもの頃の、市内の映画館にまつわる思い出はありますか?
(菊地):あの頃は作品が2本立てで上映されていましたよね。今になってみると、それがとても印象的です。2本立ての良いところは、自分が決して選ばないような映画や目星をつけていなかった作品に出会えること。たとえば当時大人気だった『ホームアローン』を観に行った時の2本目は『シザーハンズ』で、この『シザーハンズ』の方に「こんなすごい映画があるんだ…!」と感動したことを覚えています。あとは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』の2本目でやっていた『トレマーズ』とか。こういう出会いがあるのは、2本立てならではですよね。これは記憶がちょっと曖昧ですが、岩井俊二監督が『ラブレター』の舞台あいさつにやってきて、「ここ(足利)が最初の舞台挨拶の場です」とおっしゃっていた…なんて思い出もあります。
今回の作品は全編足利ロケとのことですが、実際にロケをやってみて感じたことはありますか?
(菊地):僕は18歳の頃まで足利にいました。その後は東京に住んでいますが、東京と足利は距離的にはそんなに離れていないので、自分の感覚でも足利から「遠く離れている」という感じは持っていなかった。けれど今回ロケで市内の様々な場所を訪れて、自分の記憶の中にあった場所にも行ってみたのですが、記憶とは違ってしまっている場所が結構ありました。一方で、変わっていない場所もありました。足利は関東平野のどん詰まりにあって、振り返れば山、目の前は一面の田んぼ…という風景が広がっていますが、この景色が今回の映画にはよくマッチしていると思っています。
それと、僕自身もそう思うし、スタッフからもよく言われるのが、足利の人は人懐こいということ。地元出身ということもあるかもしれませんが、応援してくださる方が多いのは嬉しいですね。
最後に、この映画の見どころを教えてください。
(菊地):この映画には、人生の分かれ道に差し掛かった人たちが出てきます。でも、シリアスな映画ではなく、むしろコミカルで前向きになれる作品です。足利の方々が小さい頃から見てきた風景も、たくさん出てくると思います。皆さんに楽しんでいただける作品ですので、ぜひご覧ください。
菊地監督、ありがとうございました!
映画情報
■ディアーディアー
監督:菊地健雄(初監督作品) 1978 年足利市出身。 足利高校卒業 明治大学卒業後 映画美学校卒
公開:2015 年予定
制作プロダクション:株式会社オフィス桐生
あらすじ:
「リョウモウシカが生息する町」として知られる山あいの町。しかし 25 年前に3人の兄妹が目撃した以降は目撃例がなく、その目撃体験も周囲からは疑われ、兄妹には「うそつき」のレッテルが貼られていた。
そんな兄妹が、病に倒れた父親を見舞うため数年ぶりに再会する。訳ありな長男、情緒不安定な次男、アル中気味の長女……。過去のトラウマと各々が直面しているトラブルにギクシャクする三兄妹。そんな中で父は逝いってしまった。岐路に立たされた三人が見たものは……?
美しい自然が残る地方都市を舞台に、そこに生きる人々の成長と葛藤をコミカルに描くオリジナル作品。
「足利市映像のまち構想」の一環として、足利市の協力のもと、全編同市内で撮影される映画。
▼撮影の様子
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2014/09/18)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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satoko motegi
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