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足利で創業100年。親子3代続く稲葉納豆工業所

足利で創業100年。親子3代続く稲葉納豆工業所


日本人になじみの深い納豆を作り続けて創業100年になるのが足利市伊勢町にある株式会社稲葉納豆工業所。木を薄く削って作る経木きょうぎで、納豆を三角形に包んだ昔懐かしい経木納豆から、北海道産の大豆を使用した大粒や小粒の納豆、地元足利の大豆を使用した納豆など、品揃えが豊富な納豆製造所です。平成9年から3代目の代表取締役に就任した稲葉好聡よしさとさんにお話を聞きました。

左から三男の淳輔さんと妻のるり子さん

左から三男の淳輔さんと妻のるり子さん

稲葉納豆の始まり

当時栃木県那須町で米屋を営んでいた先代の稲葉米吉さんが、ご飯のおかずに合う納豆に魅了され、親戚の納豆屋に製法、技法を一から学びました。そして栃木県那須町から栃木県足利市に移住、大正8(1919)年市内に稲葉納豆工業所を創業。昭和27年の株式会社稲葉納豆工業所創立を期に、2代目・稲葉登美男とみおさんが代表取締役就任、そして現在の3代目社長・稲葉好聡さんへと、大正・昭和・平成と親子3代続く納豆製造所です。現在従業員は30人。妻のるり子さんと三男の淳輔さんが製造全般を、次男の大輔さんが営業などの業務に携わり、ご家族でこの稲葉納豆工業所を支えています。

大釜で大豆を蒸している様子

大釜で大豆を蒸している様子

知っているようで実は知らない。納豆ができるまで

納豆は、大豆を水で浸漬しんせき(※)→蒸す→納豆菌散布→パック詰め→発酵→冷却熟成→梱包→出荷、これらを3日間かけて行います。先代から守ってきている事として、大豆の表皮を傷つけずにうまみを閉じ込められるように、機械で洗浄せずに全て手洗いする事から始めるので、大量生産はできないそうです。また大豆の種類によって浸漬時間、蒸す時間、発酵の温度を変えていて、稲葉さんは「この作業には長年の経験に基づく目利き、知識、熟練の技術が必要だ」と話します。

大豆を浸漬(しんせき)している様子

大豆を浸漬(しんせき)している様子

昔ながらの経木納豆へのこだわり

現在でも国産鈴丸という商品や通信販売の手作り納豆には、木を薄く削ってできた紙状の板、経木を使用しています。経木には松脂まつやにの持つ殺菌効果があり、適度な通気性と保湿性、独特の芳香と、さらに天然のうまみ成分を持つと言われており、経木を使用することによって納豆菌の発酵状態が良く、しっとりふっくらとした深い味わいの納豆ができるそうです。この経木を折り、納豆を詰めて包装するという一連の作業も、創業以来変わらず全て手作業で行われています。

経木に納豆を詰めて梱包している様子

経木に納豆を詰めて梱包している様子

国産大豆にこだわり大豆の選定に妥協はしない

納豆の味の違いは素材で決まります。今は輸入大豆の納豆も多いなか、稲葉納豆は一部の商品を除いて、国産の大豆を使用した納豆がほとんどです。主に北海道産と足利産の大豆を使用しており、稲葉社長は「北海道の大豆はうまみと甘みがほかの大豆とは全然違う。経木で包んでいる納豆は全て北海道産大豆を使用しているので、特に大粒大豆を使用した納豆は、昔懐かしい納豆本来の美味しさを味わえる」と話します。

(※)浸漬…大豆を水につけておくこと

(取材記事執筆:石井早輝子、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)

場所株式会社稲葉納豆工業所
栃木県足利市伊勢町4-9-6
備考TEL 0284-41-3855 FAX 0284-41-3976
営業時間 9:00~17:00 土曜・日曜定休
URL http://www.inaba710.com/

※この記事に掲載されている情報は取材当時(2019/04/01)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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