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足利の土からお茶碗や湯呑みができる?
足利市各所で2月末まで、食文化や芸術文化が楽しめる「足利風土祭(あしかがふうどさい)」が開催されています。イベントのパンフレットを読むと「足利の土のうつわ」が展示されているのを発見しました。「足利の土で焼き物が作れるの?」と足利生まれ、足利育ちの私はとても驚きました。焼き物といえば有田焼や信楽焼、益子焼などが浮かびますが、足利の土を使うと一体どんなものができるのでしょうか。
生まれ育った足利の土で焼き物をつくる
「どんな土でも、人の力で活かすことができます。足利の土にはどんな形や作り方が合うのか、探してあげたいですね」
足利の土のうつわを作っている市内在住の陶芸家 柳川謙治さんはこう語ります。足利市に生まれ育った柳川さんは、自然のものを一から自分の手で作る原始的な作業に惹かれ、陶芸を学びました。京都で修業を積む中で、足利の土でも焼き物が作れることを知り、作品の幅を広げたいと考えていたそうです。足利へ戻り「やながわ製陶所」を設立。日常で使える陶磁器を作り、陶芸体験や教室を開きながら、足利の土を使ったうつわ作りに取り組んでいます。
うつわは、相生町にある「人形のやながわ」に展示されています。お店に入ると、抹茶碗や飯碗、湯呑み茶碗にコーヒーカップとソーサーなどが並んでいました。うつわにかける釉薬(ゆうやく)や様々な技法によって、それぞれが違った色合いを見せています。実際に抹茶碗を手に取ってみると、ちょうど良い重みで手に馴染み、何を入れて使おうかと想像する楽しさがありました。焼き物というと敷居が高いような気がしていましたが、足利の土を使っているということで、身近に感じることができました。
住んでいる限り使い続けられる地元の土を使う
関東平野に位置する足利市の土は、関東ローム層の鉄分を多く含む赤土で、土味そのものが良い雰囲気を出しています。明治時代に足利万古焼(下野万古焼)が樺崎町で作られていたという歴史があります。柳川さんはご自身で原土を掘り、成形できるように粘土にしています。一から手をかけて一人で行っているため、量を確保するのが難しいそうです。それでも、「住んでいる限り使い続けられる地元の土を使わない手はない」と、地道に作業を続けています。
愛着のある足利の土でできたうつわ。焼き物になじみのない人は、お茶碗や湯呑みなど手に持って使う食器から選ぶと良いそうです。実際に手に取り、持ちやすく自分に扱いやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。柳川さんのうつわを取り扱っている足利市内のお店は「人形のやながわ」または「足利叢林(そうりん)」です。(取材・記事執筆 コバヤシリカ)
【人形のやながわ】 足利市相生町385 / TEL 0284-41-3901(教室・体験のお問い合わせもこちらへ)
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2016/02/23)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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