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大人も子どもも通うお菓子の家。ログハウスの駄菓子屋さん「お菓子のやまぎし」
足利市五十部町の旧50号線沿い、足利赤十字病院近くにある一軒のログハウス。看板ものぼり旗もなく、一見何のお店だかわからないこの建物が駄菓子屋さん『お菓子のやまぎし』です。ここは足利公設市場で菓子卸業を営む『やまぎし』3代目山岸康一さんが、奥様との結婚を機に建てた小売りの店。卸業ではなかなか接点を持つことができない、一般客の動向や売れ筋を知るためのアンテナショップとして、自宅兼倉庫だった建物を2008年に建て替えお店を始めました。
コンセプトはグリム童話に登場する「お菓子の家」
山岸さんは、一度見たら忘れない「お菓子の家」のようなログハウスを建てたいと考え、専門家の友人に相談を持ち掛けたそうです。瓦をわざと不規則に配置し、まるでお菓子を散りばめたようなグラデーションの屋根。この屋根が目立つように壁には四角に製材されたログを使用、周囲にも意匠の凝った小さい外灯を多用するなど、遊び心溢れる外観になっています。「うちのお店、看板がないでしょう?屋号って、必要なのは大人だけで子どもには関係がない。子どもは建物で覚えていますから。」
小さな子どもが自分で選ぶ楽しみを知る
山岸さんのこだわりは内装にも行き届いています。店内いっぱいに配置された棚には、かなり低い位置まで駄菓子が陳列されており、一番下の棚は価格帯の低いもの、棚が上がるごとに金額が上がってゆくように設置されています。これは小さい子どもに安心して買い物をしてもらうための配慮。『やまぎし』はショッピングカートがない代わりに大小様々なカゴが用意されており、小さい子どもでも歩きながら自分で商品を選ぶことができます。
子どもはもちろん、大人も通う駄菓子屋
ログハウスの駄菓子屋を始めて驚いたことは、子どもやファミリー層だけでなく、大人の、しかも男性が単独でやってくること。「実は大人の男性客は駄菓子への食いつきが良い。この店をやり始めなければ知らなかったことです。」と話す山岸さん。平日15時以降は子どもたちの時間ですが、子どもがいるとゆっくり選ぶことのできない大人たちは、15時前の時間帯を狙ってやってきます。店側が意図しなくとも、時間帯による利用客の棲み分けができていったのだそうです。
車椅子でも入れる駄菓子屋だからこそ、あたらしい使い方も
最近では15時以前の時間帯に利用する団体客も多くなってきています。この店は完全バリアフリーを導入しているので、車椅子での入店が可能。「デイケア施設の方が、小グループで買い物を楽しみに、妻沼や伊勢崎などかなり遠方からもいらしてくれます。」幼稚園や保育園、小学校低学年の買い物の練習に使いたいと申し込みを受けることもあり、一軒家の駄菓子屋だからこそ、その利用方法も自然発生的に拡がりをみせています。
(取材記事執筆:梨屋、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)
場所 | お菓子のやまぎし 栃木県足利市五十部町244-3 |
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備考 | TEL:0284-21-1629 営業時間:11:00~18:00 定休日:水曜日 |
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2018/02/24)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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